テレワークの制度が
整っていないとき
就業規則などがなくても、経営者と従業員が合意することによって自宅等で勤務する場合もあります。しかし、拠って立つ制度がなければ、どのような勤務状態が正しいのかが分かりづらくなり、継続的にテレワークを実施することは難しくなります。
テレワークによる就業と、就業規則が矛盾せずにいられるように、規定やルールを整えましょう。ただし、規定がないからテレワークができないというわけではありません。まずは、やってみましょう。
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テレワーク制度(規程やルール作り)
- ・制度の定め方
- ・検討すべきポイント
制度の定め方
テレワークを正式に制度として定めるには、就業規則にテレワークに関する内容を記載する必要があります。就業規則本則への追記でも可能ですが、テレワークに関するルールを「テレワーク勤務規程」としてまとめ、就業規則に付属する規程として追加する方法が一般的です。付属の規程も就業規則の一環ですので、本則と矛盾する点があれば、本則への修正も必要になってきます。
また手続きとしては、通常の就業規則の改訂等と同様に、従業員代表の意見を聴くなど、法に則って進める必要があります。
さらに、テレワーク勤務規程を補う社内運用ルールなどを別に定めておき、こちらを柔軟に変更することで、実態に合った制度の運用がしやすくなります。
検討すべきポイント
テレワーク規程を定める際に特に検討すべきポイントは以下です。
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対象者
テレワーク制度を利用できる範囲や条件を定めます。
例:「アルバイトを含む全員」「入社2年目以上の正社員」「3歳までの子を持つ従業員」など -
就労場所
テレワークで働ける場所を定めます。
例:「従業員の自宅」「自宅及び2親等以内の親族の住居」「企業が許可した場所」「事前に管理職の承認を得た場所」など -
労働時間
テレワークの際の労働時間を定めます。オフィスでの通常勤務と同じものにするのが一般的です(=オフィスで時間労働制なら、テレワークでも時間労働制)。テレワーク時の時間外労働や休日労働についてもその可否を定めておきます。
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実施頻度
テレワークができる頻度を定める場合は記載します。
例:「週1回まで」「月に最低5回は出社すること」「管理職の相談の上で回数を決定すること」など -
手当や費用負担
テレワーカーに付与される手当がある場合、また自己負担の費用がある場合は明記します。
例:「在宅勤務時にかかる水道光熱費等の費用は従業員の自己負担とする」「週3日以上テレワークをする従業員はあらかじめ申し出ることでテレワーク勤務手当を支給する」など -
服務規律
テレワークの時は出社時よりも自由な環境になりがちなので、服務規律を定めておくことをお勧めします。
例:「業務に専念できる環境を維持するため、同居の家族にもテレワークについて理解を求めておくこと」「在宅勤務の日は未就学児は保育園等に預けること」「私用で中抜けをする場合は、あらかじめカレンダーに記載するとともに管理職の承認を得ておくこと」など
参考リンク
助成金・補助金
- ・公的支援を活用しよう
- ・厚生労働省の施策
- ・総務省の施策
- ・経済産業省の施策
公的支援を活用しよう
テレワークの環境整備に使える助成金や支援策は国や地方自治体から様々に提供されています。助成金の対象は何か、申請に必要な条件は何かなどを確認しながら、適切に活用しましょう。
以下に国の行っているテレワーク関連の助成金や支援策をご紹介します。(情報は2020年度のもの)
厚生労働省の施策
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①働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
在宅勤務又はサテライトオフィス勤務に取り組む中小企業に対して、その実施に要した費用の一部を助成します。助成対象は「テレワーク用通信機器の導入・運用」「就業規則・労使協定等の作成・変更」「労働者に対する研修」「外部専門家によるコンサルティング」にかかる費用です。
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②テレワーク相談センター
無料でテレワークに関する相談を、専門相談員が受け付けています。
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③労務管理の訪問コンサルティング
https://www.tw-sodan.jp/roumu/
社会保険労務士など、テレワークに関する人事・労務管理の専門家が5回まで訪問等を行って相談対応をします。
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④「テレワーク総合ポータルサイト」
厚労省が作成したテレワークの導入事例集やモデル就業規則例などの情報がダウンロードできます。
総務省の施策
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①テレワークマネージャー相談事業
https://teleworkmanager.go.jp/
テレワークの知見、ノウハウ等を有する専門家(テレワークマネージャー)が、無料でテレワーク導入に関するアドバイス等を行います。
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②テレワークのセキュリティ あんしん無料相談窓口
https://www.lac.co.jp/telework/security.html
テレワークを導入済、または導入を検討している企業・団体・自治体等に対してセキュリティに関する相談やアドバイスをセキュリティの専門家が行います。
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③テレワーク・サポートネットワーク
https://teleworksupport.go.jp/
各地の商工会議所等がテレワーク・サポートネットワークとして連携し、無料の相談会の実施や、気軽に相談できる「地域窓口」を開設することで、地元企業のテレワーク導入を支援しています。
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④テレワーク総合情報サイト「Telework Net」
テレワーク活用事例や総務省が作成したテレワークセキュリティガイドラインなどの情報がダウンロードできます。
経済産業省の施策
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①IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/tokubetsuwaku/
新型コロナ感染症への対策として非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備等に取り組む中小企業のIT導入等を支援するコースが新たに創設されました。
国のほかにも、各地方自治体独自の助成金や専門家派遣、テレワーク推進センターの設置などの支援策があります。ご関心のある方は、ぜひお近くの自治体に問い合わせをしてみてください。